28 days later

28 days later dir. Danny Boyle(今更とは思いますがネタばれあります)

鑑賞終わり。怖いと思ったのでipodで見た。決して許されるべきではない暴挙。でも怖いから仕方ない。しかも(同じく怖いので)音を極力抑えて、字幕中心。もうこれは映画鑑賞とは言えない。でも見たかったのだもの。

まあそういうことがポイントなのだろうが、怖かったのはinfectedではなくて、前半は人のいないロンドン、後半は兵士。理窟上は、結局infectedであろうとなかろうと同じじゃん!ということなのだと思うが、最後近くで Cillian Murphyの演じるJimが血まみれになりつつ兵士(しかもinfectedではない兵士)の両目を押しつぶすシーンは、先端恐怖症気味の自分としてはちょっと、うぎゃあ。ipodの極小画面で眺めていても、それでもうぎゃあ。私がスプラッターを見られないわけだ。

で、そのあたりのinfectionというのは結局内部から起きているのだねというのは、これは冒頭から示唆されてもいるし、infectionという概念そのものがそもそも外部/内部の境界を脅かす概念なのだから当然として、その部分が本当に怖いかというと、多少微妙かもしれない。見ている側が「ああそうそう、infectionだからね、外から来るものとして食い止めるわけにはいかないよね、そもそものrage virusの始まりがああだしね、そうそう」と、綺麗にまとまってしまって、確かに人間の暴力性への恐怖のようなものは残るのだが、それでどこか説明をつけてしまえるというのか。

むしろやっぱり怖いのは前半のロンドンで、まったく人のいないロンドンというのはちょっとこう、理由なく怖い。いや、人が溢れている状態を見慣れている場所から人がいなくなるから怖いんだというところは勿論わかるのだが(おそらく人のいないニューヨークの映像を見ても、ニューヨークを訪れたことのない私にとっては、これほど怖くはないだろうと思う)、そうやって説明をしてもやっぱりこう、心底怖いというか、そうか、不気味なのだ。私だけなのかもしれないが。見終わっても、光景自体は別になんと言うこともないのに、どこかにひんやりと違和感が残って、人のいないロンドンが人のいるロンドンの背後に重なり続けているような、そういう感じ。

実はそもそもは28 weeks laterが見たくて一応その前にこちらもと思っての鑑賞だったのだが、28 weeks laterはもっと露骨にポリティカルだ(アメリカのイラク占領の話だというのが一目でわかる)というので、うーんどうだろう。それはそれでホラーやSFの王道だとも思うのだが、ますます怖くはなくなるような。それとも監督も違うし、テーマを明確に押し出しつつも、そういう不気味さをかもしだせているのだろうか。

いや、怖いのは見たくないのだが。しかし怖くないホラーってどうだ、とも思うし。