Go Fish
- 出版社/メーカー: アップリンク
- 発売日: 2001/05/25
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GO Fish (1994) dir.Rose Troche
監督はSix Feet UnderだのThe L Wordだのでもエピソード監督をしていて、The L Wordはともかく確かにSFUだとちょっとわかるかもしれない。最初にこの映画を見たのはおそらくTLGFF(当時そういう名称だったかどうか記憶があいまいだけれども)で、渋谷の映画館だった。その時はとにかく幸せな気分にもなったし、Guinevere Turner演じるMaxにちょっと惹かれるものもあったのだが、逆に言うと幸せな気分しか記憶に残っていない。
見直してみると、こんなにアヴァンギャルド風というのか(それとも違うかもしれない)、なんだかいかにも何かを象徴するようなしないようなシーンが多数挿入された映画だったっけ?と、少し驚く。その象徴シーンがうまく機能しているのかどうかがよくわからないのだが、例によってまともな見方をしていないからかもしれない。もう一度見直す必要がありそう。特にバイセクシュアルを扱ったあたりは、なんだかちょっとheavy-handedにすぎるようにも思える。
この映画が最初に公開された当時は、カミングアウトだけをフィーチャーするのでもなく、あるいは妙に耽美な悲恋物に仕立て上げるのでもなく、そして何よりも「いかにも映画向き」な女優だけを使うわけではない、ある意味で本当にリアリスティックなレズビアン映画であるという、その点での衝撃は大きかったわけで、実際、インディペンデントな、あるいは全くマーケットに乗らないような映画は別にして、ある程度の商業的成功をおさめた映画ということになると、いまだにGo Fishにおけるある種のリアリズムというのは貴重ではないかとも思う。
しかし同時にもちろん、人種においてもセクシュアル・アピアランスにおいてもバックグラウンドにおいても多様なレズビアンが作り出すある種友好的でリラックスしたコミュニティというのは、実際に存在しないわけではないにせよ、どこにでも存在するわけではないこともまた確かであり、その意味ではこの映画のリアリズムは明確に理想像へと傾いているともいえる。
リアリズムと理想主義とをジャグリングするその必要性と、白黒のアヴァンギャルド風味な映像構成とが、どこかでかかわっているのではないかとは思うのだが。