インターネットとゲイコミュニティの変遷

しばしば語られる問題でもあり、まあ考察の必要な領域ではある。日本については_Queer Japan From The Pacific War To The Internet Age_あたりがそれを試みようとしたものか。ただ、この本は実際にはインターネットの普及以後のコミュニティ変遷についてはあまり触れられていなかったような記憶<曖昧。

Queer Japan from the Pacific War to the Internet Age (Asian Voices)

Queer Japan from the Pacific War to the Internet Age (Asian Voices)

で、これはイギリスのチャンネル4のレポートの一部。チャンネル4サイトの対応記事はこれ。Seeing in the dot.com decadeと題された三回にわたるレポートの第二回にあたり、Gaydar(大手のゲイ出会い系サイト)の普及にともなって、コミュニティがどのように変わったのかを探ろうというもの。

Dot.com Decade/ Gaydar(動画埋め込みができるはずなのだが、どうもうまくいかないのでリンクのみ)

当然のことながら、プラスポイントとして挙げられるのは、相手がみつけやすくなる(しかもタイプど真ん中!というのに出会う可能性が高まる)、プライバシーを守って危険を回避しつつ同じセクシュアリティの人間と出会える、など。同じく予想のつくことながら、マイナスポイントとして挙げられているのは、ローカルの中小ゲイバー(ロンドンの王手観光ゲイバーは別)が、出会いの場として利用されなくなることで、規模縮小、あるいは閉鎖に追い込まれる。それと並行して、コミュニティの分断(ニッチ化)が進行していく、など。

同時にレポーターは、bareback sexが非常に安易に追求されていることにも危惧を表明している。殆どはHIV Posの人(おそらく、「だからいまさらセーファーセックスをしたって同じこと」と考えている、ということ)なのだが、実際には複数の異なる系統のウィルスに感染するケース(スーパーウィルス)が増えてきているとのことで、危険性が非常に高い、ということ。(こちらは映像よりもサイトの方が詳しいような気がする。)

短いレポートなのでそれほど深い考察があるわけではないが、参考資料として。